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女子高生は秋風のヒロインに覚醒する………【霧島 紅葉】
お気に入りの黒のワンピースとタイツ。 シンプルだけれど、シルエットが綺麗に見える―― 紅葉が密かに“ちょっと大人っぽい”と思える特別な服だった。 秋の空気は涼しく、澄んだ風が心地よい。 家の近くの並木道は紅葉が色づき始め、 舞い落ちる葉が道を金色に染めている。 「ふふ……なんだか映画のワンシーンみたい。」 休日の静かな午後、 誰に見せるわけでもなく、 紅葉は自分だけの世界に浸って、 落ち葉の道をゆっくり散歩した。 頬をなでる風、柔らかな陽射し―― そんな小さな幸せが胸に広がる。 この瞬間だけは、 学校も勉強も気にせず、 ただ“ひとりの女の子として”自由に過ごす時間。
