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蒼穹のフロンティア【テンペストに届く、甘い幸せ】
二ヶ月にいちど。 テンペストに届く、補給物資の日。 艦内がいつもより少しだけ騒がしくなるその日、 ユナ・アストリンは、誰よりもわくわくしながら 大きな木箱の前に立っていた。 「……入ってるかな……」 箱が開かれる音と一緒に、 食料コンテナの中に現れたのは―― 淡いピンク色のマカロン。 「……あっ……!」 その瞬間、ユナの目がぱあっと輝いた。 大事そうに両手で包み込み、 おそるおそるかじる一口。 ふわりと広がる甘さに―― ユナの頬は思わず緩んでしまう。 「……おいしい……」 窓の外には、静かな宇宙と、 淡いピンク色の星。 その景色を眺めながら、 マカロンをかじるユナは、 まるで宇宙の中で 一番しあわせな子どもだった。 いつもは戦闘と警報に包まれた艦内。 けれど、この一瞬だけは―― マカロンと笑顔が、 テンペストをやさしい空気で包み込んでいた。 それはきっと、 ただのお菓子じゃない。 この艦が、 「ちゃんと明日へ向かっている」 という、 小さな証でもあったのだから。
