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輝け!!ダメ絶対領域!!湯たんぽのぬくもりと共に・・・・・・
一月の丹沢。雪はないが、空気は容赦なく冷たい。 ブロント少尉は尾根道を軽快に進んでいた。 ニッカポッカに、派手すぎるニーハイソ。 丈が合っていないせいで、膝上には堂々たるダメ絶対領域がさらされている。 「少尉……寒くないんですか?」 後ろを歩く若菜少尉が、思わず口にした。 「問題ありません」 即答だった。 「行動に支障はありませんし、血行も良好であります」 「その判断基準、そこですか……」 若菜少尉はそれ以上言うのをやめた。 山頂に着くと、ブロント少尉は手際よくザックを下ろし、バーナーを展開する。 風防、設置角、火力調整。どれも完璧だ。 「湯を沸かします」 「ラーメン、ですよね?」 「はい。温かいものは士気を向上させます」 ザックから出てくるのは、必要以上の燃料。 「……多くないですか?」 「湯たんぽを再加熱する必要があります」 「え?」 ラーメンが出来上がり、少尉は一杯を自分に、もう一杯を若菜少尉に差し出した。 「どうぞ。温まります」 「ありがとうございます……?」 若菜少尉が箸を取った、その時だった。 ブロント少尉はシャツの内側に手を入れ、 ずしりとした布包みを取り出す。 巨大な湯たんぽだった。 「ふう……これがあれば寒さは問題ありません」 腹に抱えられた湯たんぽから、かすかに湯気が立つ。 「……少尉、その湯たんぽのお湯って」 「一度沸騰させた清潔なお湯であります。もちろん再加熱済みであります」 「…………」 「合理的でありますよ?」 若菜少尉は、 ラーメン、湯たんぽ、そしてその間にあるダメ絶対領域を順に見て、 何も言わずにラーメンをすすった。
