スクープ！！学院長の秘密！！

「あのお爺さん、スレイマンさんだっけ、人がよさそうにお爺さんに見えたんだけどね」 賢者の学院のシルビアの自室で、ダキニラがつぶやく。 手には大きな、古めかしい魔道カメラを持っている。 「悪人ではないけど、スケベなのよ。お母様に色目使ったりするし……」 シルビアは、ごひゃ、いや（●）24歳の母が新入生として学院にやってきた事を思い出す。 エロジジイ、もといオールド・スレイマンが要らんことをしたに違いない。 「うーん、それでもって生徒ぐらいの若い女性を夜な夜な部屋に連れ込んでいる・・・・・」 その少女のように若い女性は、事もあろうにシルビアに似ているらしい。 「たまったもんじゃないわ。エロジジイとそんな想像をするだけで怖気が立つわ！！」 シルビアは、奔放自由な母に対する反発か、恋愛に対して慎重、というかまったくの奥手だ。 「わかった。偉い人が権力使って悪さすることは良くあるからね。調べてみるよ！！」 ダキニラは、カメラを構えながら請け負うのだった。 ダキニラは、学園長室の窓の外、外壁に懸垂降下で張り付き、学園長室の中を覗いている。もちろんカメラも忘れない。 魔法使いの部屋なので、遠見の魔法や飛行魔法への対策はばっちりで、住人は油断しているのだろう。 だが、盗賊のスキルを魔法で完全に遮断するのは無理だ。魔道カメラも、魔道と言いつつ動作に魔法は使っていない。 （おっと、なんか魔法を使うみたいだね。やっぱり魔法使いだ） 鏡に向かって立ち杖をふるう学園長。 （えっ、嘘！！） 杖をふるうと、学園長の姿はみるみる変わっていった。 長い銀髪を持ち華奢な体つきの可愛らしい美少女に。 その美少女が、学園長の変身した姿なのは、先ほど着ていたぶかぶかのローブを纏っているので明らかだ。 その姿は、なるほど、華奢な体形と銀髪で、シルビアに似ていると言えばそうである。 （えっ、なんで！！） その時、扉が開いて入ってきた人物をみて、ダキニラはさらにどキモを抜かれた。 褐色の肌に尖った耳の銀髪の美女、ダキニラとシルビアの母、アーゼリンだったのだ。 「ちょっとよろしいでしょうか。オールド・スレイマン」 「なっ、なんじゃ！？シィルちゃ、シルビア導師？」 低い声で立ち塞がった准導師の姿に学園長は思わず怯む。 「母を入学させたのは、これが目的ですか？」 ハーフエルフの准導師は、臨戦態勢のように杖をもっている。心なしか、バチバチと稲妻が彼女の心に合わせて放電しているように見える。 彼女は狐の獣人の新聞記者（盗賊）と、なぜだかオークの戦巫女も伴っている。 「じいさん、なかなかいい趣味しているね。まあ、否定はしないよ。お母さ、アーゼリンさんに近づくため以外ならね」 ダキニラは、魔道写真を放り投げる。そこには、学園長室で、ぶかぶかのローブをきた美少女が映っていた。 「卑怯な真似は許さぬぞ」 異母兄であるゴルドンと、ゴルドンの母を敬服している戦巫女、グレドーラも続ける。 「おっ、おんしら、何を勘違いしておる！！」 床に落ちた写真を見て、一瞬ぎょっとしたスレイマンだったが、慌てて言いつのる。 とそこに。 「スレイ？どうした？みんなも……、何事だ？」 赤いマントを羽織った褐色の肌の美女が通りかかる。 「アズ？ちょっとした勘違いじゃ。 わしは旧友との出会いを懐かしみ、昔の姿になっていただけじゃよ。 やましい真似などしておらん！！」 一同、その言葉に意味が解らず首をひねるが。 「ああ、懐かしかったな。初めて会った時のスレイは、とても可愛らしい男の子だった。ずいぶん変わってしまったな」 床に落ちた写真を拾い上げながら言うアーゼリン。 「そっ、そんな！！」 「えっ！！」 「なんと……」 写真の美少女（？）には、よく見るとのどぼとけが映っていた。