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女子高生はメイドカフェ店員に覚醒する………♡ (霧島 紅葉)
――放課後の商店街。 霧島紅葉は、急ぎ足で小さなメイドカフェ〈メルティ・スプーン〉へ向かっていた。 「紅葉ちゃん、本当に助かるよ……!」 そう店長に声をかけられたのは、つい昨日のこと。アルバイトスタッフが体調不良で休み、店は人手不足。紅葉は断れず、今日だけの“助っ人メイド”として引き受けることになったのだ。 店の裏口でエプロンを整え、深呼吸をひとつ。 「よし……がんばろ。」 扉を開けた瞬間、甘い紅茶の香りとともに、客たちの視線が一斉に彼女へ向く。 緊張で胸が跳ね上がるけれど、笑顔だけは忘れない。 「おかえりなさいませ、ご主人さま……♪」 たどたどしい所作も、真っ赤な髪と愛らしい瞳でむしろ人気が急上昇。 皿を運ぶたび、「新人さん可愛い!」と声が飛び、店はいつも以上の活気に包まれていく。 忙しさで走り回りながらも、紅葉はどこか楽しそうだった。 「こういうのも……意外と悪くないかも。」 その日のメイドカフェは、紅葉のがんばりによっていつも以上に温かい空気に満たされていた。 そして彼女の小さな冒険は、胸の内にそっとキラキラした思い出を残すのだった。
