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蒼穹のフロンティア【月影に揺らぐ祈り】
満ちた月が夜空を覆い、静寂が世界を包む。 その光の下、アリシア・ヴァレンタイン大尉はそっと両手を掲げた。 掌に宿る淡い光球は、戦場で散った英霊たちの“想い”―― 彼女が背負い続けてきた重さそのものだった。 寂しさでも後悔でもない。 ただ、託された願いを果たすための覚悟が、月影とともに揺らめく。 アリシアは静かに瞼を伏せ、 その光を胸に抱くようにして前へ進む。 まだ終わらない戦いの中で、 彼女だけが背負える祈りがあると知っているから。 夜風がわずかに吹き、 光球はまるで英霊たちの声のように柔らかく脈打っていた。
