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蒼穹のフロンティア【月光に照らされた二つの願い】
巨大な満月が浮かぶ静かな夜、 ロレンツォ・バルディーニは掌に光を宿した “月の欠片” をそっと掲げていた。 それは戦場で散った仲間たちから託された、祈りと願いの象徴―― 彼の豪放な笑みの奥に、決して消えない温かさを灯している。 一方、艦内の展望席で月を見つめるセリス・ハワードは、 静かに沈んだ瞳で思索にふけっていた。 仲間を失い、責務に押し潰されそうになり、それでも前に進もうとする彼女。 窓越しに見える夜空の月は、 ロレンツォが抱く光と同じ輝きを放ち、 まるで二人の心をそっと結びつけているようだった。 豪快で真っ直ぐな男と、 孤独な重圧を抱えながらも強くあろうとする副艦長。 月光に照らされたその瞬間、 二人の心には同じ想いが宿っていた。 ――失われた者たちの願いを、これから先も背負ってゆく。 そして、まだ終わらない戦いの日々の中で、 互いの存在が小さな希望となり始めていた。
