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雨中の道化
シャーリーが性懲りもなくコントを続けるようです。 魔王様、申し訳ありません ----‐------‐-------‐‐--------------------------------------------------------- 雨の石畳を、フード付きのパーカーを羽織った影が駆けていく。 派手な道化衣装は隠しきれず、フードの隙間から黒髪のロングに赤いインナーカラーが覗いていた。 「ふひひ……魔王さま。シャーリー尼めが必ずや、あなた様の野望を継ぎましょうぞ。ご安心なされて……天にお帰りくださいませ。いえ、地獄でしたかしら♡」 不敵に笑い、滑稽なほど堂々と、しかし小物めいた足取りで雨の夜を駆け抜ける。 その背には、金貨の袋がずっしりと揺れていた。 ……と、遠くから雷鳴のような声が響く。 「勝手に殺すな~! ハロウィンの出し物じゃろうか!! それと勝手に財宝を持っていくな~!」 雨に紛れ、道化の逃走劇はなおも続くのだった。
