thumbnailthumbnail-0thumbnail-1

1 / 2

正しいこぶしと不運のこけし

乾いた音が、訓練場に響いた。  正拳突き――  教範どおり、完璧な踏み込み。  腰の回転、肩の入り、拳の伸び。 「ふふふ……」  ブロント少尉は、拳を突き出したまま、満ち足りた笑みを浮かべる。 「改心の一撃、ですね。  木人相手とはいえ、理想的です」  背後では、巨大なこけし型訓練標が、何の感情もなく立っている。  黒髪ロング、ふてぶてしい半目。  赤いマントのような着物が、やけに威圧的だ。  ――その頭上。 若菜少尉は、それを見上げ、息を吸う。  たらい。 「少尉」 「今の一撃――」 「後ろ」  影が、落ちた。  巨大なシャーリーこけしは、何も言わない。  ただ、相変わらずの表情で、すべてを見下ろしていた。  ――こけしは反撃しない。  環境が、する。

さかいきしお

コメント (8)

東條希
2026年01月24日 10時04分
たぬ仮面@妄想竹
2026年01月24日 09時19分
しるばん
2026年01月24日 09時05分
みやび
2026年01月24日 08時53分
ガボドゲ
2026年01月24日 08時41分
Anera
2026年01月24日 08時41分
もみ
2026年01月24日 08時15分
サントリナ
2026年01月24日 08時06分

927

フォロワー

おすすめ