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望郷のフルート
リリスの店で盛り上がるアホどもにリリスが切れます。 とうとう伝家の宝刀を引き抜きます。 https://suno.com/song/712ac3f6-fff6-4c80-9318-ec76d2a351c0 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「こら!!てめーら、そろそろ帰れ!!」 ハーフエルフの、少々荒んだ顔つきの、バーテンダーが声を荒げる。 「え~、まだ夜はこれからだよ~」 「そうですぞ。酒とは人々の輪を広げ、幸運を広げるもの」 「そうだそうだ!!ブラザーの兄貴と巫女様の言うとおりだ」 店にそぐわない盛り上がりを見せる中心は、おっさんと狐少女の幸運神の神官たちだ。 イラ!! リリスは、無言でフルートを取り出して、普段冷笑を浮かべている唇を押し当てる。 そこだけ見ると、清楚な中も色気を感じさせる美少女の口づけのようだが。 ♪~♪~ 店の中に、哀愁を誘うようなフルートの音色が響き渡る。 「あっ、そろそろ帰らなきゃ……」 「母ちゃんの飯食いたくなった」 「たまには嫁さんの顔をじっくり見るかな」 客たちが立ち上がって、三々五々に店を出ていく 聞いたものは、哀愁・郷愁を覚え、自分が安らげる家やねぐら、愛する元の物に戻りたくなる。 「ノスタルジー」の呪歌だ。 普段、フルート奏者や歌手として鳴らしている、リリスならではの客あしらいだ。 「ひゅ~!!いいぞ、リリス!!拙僧も歌いますぞ!!」 「アンコール!!アンコール!!おひねりはこちら!!幸運神の巫女様が御利益を保証するよ!!」 (こっ、このアホども!!抵抗してんじゃねー) ただし、呪歌はタフな精神力を持つ(アホ)者には効きづらかった。
