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ネイルアート × ビーストクロー ~ネイルで強くなった気がするクマ!~
「はい、できたよ~! 今回は春の森カラーとぷにぷに肉球モチーフで、かわいさ200%アップだよ!」 「おおお〜! ぷにぷにクマ! これで強くなったクマね!?」 「えっ、強くは…まあ、気分は上がるけど?」 アイピク島、夕暮れのキャンプエリア。女子陣の即席ネイルアート会が、何故か真剣な訓練モードに変貌しつつある。 「見た目は戦場の心理戦にも通ずる。…ネイルは装備だ」 ブロント少尉が、やや得意げに頷く。黒の詰襟軍服にプリーツスカート、金髪ポニテの美少女だが、どこかクールをこじらせている風情。 「…それって本気で言ってるの?」 チェルキーが眉を上げたが、その視線の先には、ピカピカのネイルアートにうっとりするプーにゃんがいる。 「よぉーし、これで新技いってみるクマ!」 「えっ、それ本当にやるの!? 待って、ネイルしたばっか――」 「ビーストクローッ!!」 ぱんっ! プーにゃんの掌から伸びる五本の禍々しく輝く魔法の光爪。瞬間的に加速し、空を裂き、直線上の草を吹き飛ばし―― ズバン!!! ――ちょうど3メートル先にあった**何気ない自然石(砂岩)**を、真っ二つに叩き割った。 「………」 「………え?」 砂岩はそのまましばらく立っていたが、数秒後にカラン、と音を立てて崩れ、砂になってしまった。 「ちょ、ちょっと!? 今の…え、なんで自然石が砕けるのよ!?」 「やっぱりネイルアートは強化バフだったクマ! 魔力とネイルは相性抜群クマ!!」 「違う! ネイルは魔法触媒じゃない!! 単にテンションが上がっただけだよ!!」 「むぅ…ネイルにより闘志が高まるのは事実。ふむ……では私も“鋼鉄色”を塗るか。黒鉄の乙女と呼ばれよう……」 「いや、少尉!? それもう別の方向行ってるってば!!」 「女子力とは、戦場を彩る戦化粧……」
