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アイピク島レトロゲーム事件
アイピク島、仮設ゲームテント内 「……これ、我々に似てないか?」 チャーリーが眉をひそめる。古びたテレビに映る8ビットの戦闘画面。 ブロント少尉がどこからか発掘してきた、レトロゲームだ。 色々けったいな物が流れ着くアイピク島。 とっくに時代遅れなはずのRPGゲームのようだが、なんだかおかしい。 「この赤いの、わたし……?」 チェルキーが指差したのは、某ファミコン風RPGの敵パーティー。どう見ても自分に似た緑髪のドット絵キャラが槍を構えている。 「こちらの帽子の神官、顔つきも体格も完全に私では……」 チャーリーが続ける。 「クマ?これクマ??」 プーにゃんが画面に顔を寄せて、ラスボスの登場演出を見つめた瞬間、空気が変わる。 画面いっぱいに現れる巨大な影。禍々しいオーラに包まれたクマ耳のシルエット。 「あっ、あれ……」 少尉がコントローラーを強く握りしめた。 「――プーにゃんじゃない!!」 全員が絶句した。ラスボスの名は「クマーグ・ルゥ」。ビーストクローで一撃。全滅。 「ぎゃあああああああ!?」 少尉が絶叫したそのとき―― 「みんな、アイスできたよ~♪」 チェルキーが冷気をまとって登場。 「アイス!?食べるクマ!」 立ち上がったプーにゃんが、コロンと足を滑らせてゲーム機を蹴っ飛ばす。 ピー……という音を残して、画面はフリーズ。 そこには凶悪ボスの顔のまま固まったドット絵。 一方、現実のプーにゃんは、満面の笑顔でアイスをパクッ。 「おいしいクマ~~?」 少尉は崩れ落ち、チャーリーは天を仰ぎ、チェルキーはそっと電源を抜いた。
