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黒海猫にて ―尼僧?たちの戦い―
黒猫店長からメイド服をお借りしました 着たのは・・・・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「──いらっしゃいませ、幸運と微笑みをお配り申します。拙尼、シャーリーと申します」 リリスは一瞬、言葉を失った。 (……何だこの黒タイツ女……妙に仕上がってるメイク……) カウンターの奥、カクテルグラスを片手に微笑む“彼女”は、猫耳カチューシャにツヤのある黒いラテックス製のメイド服。 腰の白フリルが妙に派手に跳ねていて、黒タイツからのぞく絶対領域が完全に“男殺し仕様”だ。 ──ぱっと見、美人。下手すりゃモテる。 だが、目の端で違和感が引っかかる。 (あれ? 肩幅広くね? ……あとなんか線が太い) じっと顔を見る。 (……あーーー!!) よく見知った顔、ホーリーレイダース自称リーダの、変態、もとい怪盗神父!! 「てめぇ、チャーリーだろ!!」 「拙尼はシャーリーでございます」 「お前のような尼さんがいるか!!」 思わず叫んだリリスに、厨房奥で片耳を動かしていた黒猫店長がくすくすと笑う。 「にゃっはっは、オレの審美眼に狂いはなかったニャ。ほら、似合ってるニャ?」 リリスが頭を抱えようとした瞬間、シャーリーが神妙な顔で言った。 「拙尼の奉仕が、世の人々に小さな幸福をもたらすのなら──これも神に仕える道……」 「……だからその“拙尼”って呼び方やめろ!! なんで幸運神の信徒がタイツで色仕掛けなんだよ!!」 「“一応”尼さんでしょ、あなたも」 「言い返すなフォース!!」 「ぎにゃあ!!?」 光る魔導の一撃が炸裂し、シャーリーがエプロンを翻しながら吹っ飛ぶ音が店内に響いた。
