シャーリーのトラップ講座：針と糸編

学院の講堂にて――。 「危険回避学習会」と称した謎イベントの舞台に、見た目はすらりとした長身、黒髪ロングの清純美少女が堂々と立っていた。 そう、彼女こそ「幸運神の使い」と名乗りながら、今日もどこか怪しい雰囲気を漂わせる道化、シャーリー・クラウンである。 「ふひひひ！　本日のご託宣は――針と糸！　この二つで罠をこしらえ、敵をコテンパンにするのでございますぅ～！」 机の上には、小さな扉の模型。 扉の脇には糸が張られ、その先端には煌めく細針。 「ご覧あれ！　この糸をドアの蝶番に仕込みますとぉ～……扉を開けた瞬間、針がびゅんと発射！　疑似毒針で敵はビックリ仰天ざんす～！」 観客はざわめく。 「いやいや、それただの悪戯じゃねぇか……」 「疑似毒針って響きがもう怖いんだけど」 「では早速、実演と参りましょう～！」 シャーリーは自信満々に糸を引き、扉を押す。 ――バチィン！ 糸が切れ、針はくるりと回転。 ……が、狙った人形を外れ、観客席にポトリ。 「きゃぴゃっ！？　……ま、まさか神の与え給うたテストで……」 観客「「いやただの失敗だろ！！」」 赤面するシャーリー。 だがすぐに胸を張り直すと、声を張り上げる。 「ふふん、皆さま油断召されるな！　本当の講義はここからざんすよ！」 光が彼女を包み、黒髪は黄金に。 制服の下から現れたのは、金縁取りの白シャツに深紺ブルマ。 「じゃじゃ～ん！　ブルマ・クラウン、本気モード！」 観客「「誰だよ！！」」 シャーリーは軽やかに糸を張り直し、針を正確に仕掛ける。 今度は扉を押すと―― カシャン！ 疑似毒針が見事に人形の胸元へ突き立つ。 「ご覧あれっ！　これぞ、針と糸の共演！　トリガーは軽やかに、針は鮮やかに舞い踊る……芸術でございましょう！」 観客は拍手半分、ツッコミ半分。 「芸術じゃなくて罠だろ！」 「なんで金髪ブルマになると急に成功すんだよ！」 シャーリーはどこ吹く風。 舞台の中央でウインクを飛ばし、満面の笑みを浮かべていた