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異世界通信記録:コードネーム「恒久の道標」
アイピク島へのゲートが固定化されたようです。 これでいつでも・・・・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 賢者の学院の図書館資料室。 薄暗い灯りの中、分厚い本と魔法工学の資材にがうずたかく積案れている。 その中心に、小柄な影。 ドワーフの美少女冒険者にして学院助手、チェルキー。 緑髪をポニーテールに結び、可憐な顔立ちを光に浮かべている。 学院の象徴である緑に金色の縁取りがされたマントを羽織り、指先は木製の魔法電鍵を軽快に叩いていた。 カチ、カチリ。 机に仕込まれた魔力変換機構が反応し、空中に光の粒が舞い上がる。 やがてそれは明滅を繰り返し、モールス符号の星座となって並ぶ。 --. .- - . / --- -.- (GATE OK) ..-. .. -..- . -.. (FIXED) ゲート固定化成功――。 夏の幻のようだったアイピク島が、ついに「常設の交点」として安定したことを意味する符号だった。 やがて帰ってくる、返信。 響いてくる符号のリズムは、まるで彼女の心に直接刻み込まれるようだった。 その打鍵の間合い、力強い踏み込み。 それはまさに、ブロント少尉のもの。 (ああ……やっぱり、少尉だ) 脳裏に浮かぶのは、黒い詰襟軍服を纏い、金髪をきりりとポニーテールに結んだ姿。 真剣な眼差しで電鍵を叩きながら、寸分の迷いもないリズムで通信を送っている。 まるで資料室の机越しに、少尉がそこに座っているかのように。 受け入れ準備完了ーー・ 重大な報告を受けて、少尉の打鍵は力強く、しかしどこか嬉しさと懐かしさを含んでいるかのようだ。 だけど、追伸が・・・・・・ .... .- ...- . / --- .... --. / .--. .-.. ... (HAVE OHG PLS) 「……はあぁぁ!? おはぎ!? こんな大事な報告の直後に、それ!!」 音声に連動する魔法稿を睨みつけ、机を叩くチェルキー。 だが、その唇の端にはわずかに笑みが浮かんでいた。
