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チェルキーのティータイム
学園の中庭は、春爛漫の色彩に包まれていた。 満開の桜が淡いピンクの絨毯を広げ、足元の花壇には色とりどりのバラやパンジーが咲き乱れている。 その日の日差しは、まるでチェルキーの笑顔のように朗らかで、世界全体が祝福しているかのようだった。 「わぁい、見て見てー!このだんご、私が作った自信作だよ!とーっても可愛いでしょう?」 チェルキーは、両手で小さな三色だんごを大事そうに持ちながら、ぴょん、と片足を上げてポーズをとった。 彼女は美食の女神に仕えるプリーストであり、調理・栄養学科に所属している。 今日のお茶会のために、早朝から心を込めてこのだんごをこしらえたのだ。 彼女の身を包むのは、フリルとレースが何重にも重なった、パステルグリーンのロリータドレス。小麦の穂をあしらったお団子ヘアは、ぴょこんと揺れるたびに少女の無邪気さを際立たせる。 裾からチラリと覗くレース付きのかぼちゃパンツも、その完璧な着こなしの一部だ。 その愛らしい姿は、まるで絵本から飛び出してきた妖精のよう。 きゅっと上がった口角、きらめくエメラルドの瞳、そして片目をつむってウィンクする仕草は、見ている者すべてを幸福で満たしてしまう。 彼女は心から、このドレスが本当に可愛いと思っていて、それを着るのが楽しくて仕方がない。 その無垢な喜びこそが、彼女を真のロリータたらしめていた。 「んー、美味しい!**愛情と栄養がたっぷりこめたからね!**甘くて、幸せの味がするー!みんなも食べてね!!」 だんごを一口食べると、チェルキーはさらに顔をほころばせた。ドレスのふわふわとした感触も、ひらひらと舞うフリルも、すべてが彼女にとって心地よい。 中庭を吹き抜けるそよ風が、長い緑の髪を優しく揺らす。 この完璧な着こなしと、天真爛爛な笑顔は、彼女の周りだけ時間を止めてしまうような魔法を帯びていた。 他の誰もが抱くかもしれない「似合っているか」「浮いていないか」といった不安は、チェルキーの辞書には存在しない。 ただ「可愛いものが大好き」という純粋な感情と、「美味しいものをみんなに食べてほしい」という奉仕の心だけが、彼女を包み込んでいた。 今日もチェルキーは、最高の「可愛い」を体現している。 中庭のどこかで、シャーリーとリリスが自分たちのロリータファッション(そしてもしかしたら、このおだんごのカロリー計算)に頭を抱えていることなど、露ほども知らないまま、彼女は春の陽光の下で、満開の花々と共にきらめいていた。 彼女にとって、この瞬間こそが、かけがえのないティータイムなのだ。
