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ブロント探偵と、破れた靴下事件

「むむむ……この靴下……ただの靴下ではないな……!」 朝霧が立ちこめるアイピク島・キャンプ跡地にて。ブロント少尉は金髪のポニーテールを揺らしながら、焼け焦げたクマ柄の靴下の切れ端をつまみ上げていた。黒い詰襟の軍服に探偵帽、ルーペをかざす姿が今日の彼女の“名探偵モード”である。 「見ろ、みんな……このワンポイントのクマ……!!まさしく婦女子用靴下にして、巨大熊の怒りを買った証拠だ!」 「いや、なんで……?」 チェルキーが小声で呟いた。緑髪ポニーテールをきゅっと縛り直しながら、グレイブ(大薙刀)を杖のように持ってため息をつく。 「つまりだな。熊はこの靴下の“クマちゃんマーク”を、縄張りを侵す別の熊と誤認し……怒り狂って、食料テントを荒らしたに違いない!!これは、心理戦なのだ!」 「違うクマ……」 その場にいた者たちは一瞬凍りついた。やがて、銀髪の少女――プーにゃんが、じりじりと後ずさりながら、ぽつりと呟いた。 「それ……たぶん……クマ……クマのクマ……」 「ん? どういうことだ?」 「夜中に……お腹空いて……クマ、木に登ったの……。ヤシの実食べたかったから……。でも靴下脱ぐの忘れて……途中で脚、クマになっちゃって……」 「…………」 視線が一斉にプーにゃんの脚に注がれる。今はスニーカー姿だが、片方の足にはかすかにクマ毛の名残。そして、その手には破れた靴下の片割れがしれっと握られていた。 「……それ犯人やん!!」チェルキーが豪快にツッコむ。 ブロント少尉は震える手でルーペを下ろすと、仰け反るように叫んだ。 「な、なにぃっ!? このクマちゃんはまさか……自分自身だったというのか!? ふ、深い……深すぎる自己投影……!」 「いや、ただのうっかりですクマ」 プーにゃんが、しょんぼりと首を垂れた。 ブロント探偵、まさかの迷推理。 こうして、謎の「巨大熊事件」は、犯人(?)の自白によってあっけなく幕を下ろしたのだった。 🧦あとがき(YUMEのレポートより) 「ソックス事件は、島の平和を揺るがすほどの重大事件でしたが、最終的にはプーにゃんさんの“夜食クマ変化”によるものでした。少尉の探偵モードは全力でしたが、方向性は見事に迷走したようです。次回は“手袋”事件で再登場予定です」

さかいきしお

コメント (19)

ガボドゲ
2025年07月16日 12時17分
なおたそ
2025年07月15日 16時56分
早渚 凪
2025年07月15日 15時18分
CherryBlossom
2025年07月15日 14時22分
thi
2025年07月15日 14時01分
takeshi

クマ化

2025年07月15日 13時42分
五月雨

お腹すきましたわ🤤

2025年07月15日 13時18分
白雀(White sparrow)
2025年07月15日 12時24分

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