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ブロントくノ一伝説 ~ドヤ顔、一瞬の夢~
「ぬぅ……これが、戦国型特殊偵察忍装束……!」 紅白に艶やかな忍者装束――どこからどう見ても不知火舞風――を着込んだブロント少尉が、自信満々に現れた。 胸元を強調しすぎた布、極端に短いスカート、絶妙に揺れる金髪ポニーテール。 周囲の目など意に介さず、どや顔で仁王立ち。 「これぞ……隠密戦の未来ッ……!」 「……誰がそれ着ろって言ったのよ」 ピタリと空気が止まり、背後から静かに響く声。 振り返ると、そこにはチェルキー――緑髪ポニーテール、ナコルル風の白赤巫女装束。凛とした目で少尉を睨みつけていた。 「その恰好、隠密どころか注目の的よ」 「ぬう、だがこれは……アイヌ流秘伝の――」 「問答無用!」 ヒュッと音を残し、チェルキーが跳ぶ。 次の瞬間、**“ぽかっ!”**という小気味よい音と共に、少尉の額に一撃が炸裂した。 場面は変わり―― チェルキーは勝利ポーズを決め、白雀を肩に乗せて堂々と立っていた。 そしてその背後から現れたのは、銀髪ロングのプーにゃん(美少女形態)。青いワンピースに茶色いクマ耳。 「チェルキー、かっこよかったクマ~!」 ふわりとチェルキーを抱き上げ、にっこり微笑んだかと思うと―― ぺろっ。 「ちょ、やめなさ……くすぐったいってば!」 チェルキーが照れながら軽く抗議する姿に、場はほんわかと和む。 その片隅―― しょんぼりと座り込んだブロント少尉の姿があった。 さっきまでのド派手コスは影も形もなく、着替えさせられたのは地味な黒の忍者装束、まるで服部半蔵のような本格派。 「……これが本物のくノ一装束だと……? 派手さがないではないか……」 呟く少尉の肩を、白雀がちょんとつついた。 “派手さと忍は両立しない”、とでも言いたげに。 「ぬう……これは戦術的撤退だ……!」 空を見上げて、そっと目を閉じた。
