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指輪の証印と魔法の輪

草原の光を浴びて、チェルキーはブロント少尉の指先に光る指輪をじっと見つめていた。 その視線は、まるで宝石商が珍しい逸品を見つけた時のように真剣だ。 「少尉、ずいぶん変わった指輪してるね」 ブロント少尉は少し照れたように笑みを浮かべ、指輪を見せる。 「これはわたしのID、証印指輪……軍の籍や所属が、すごく細かい文字で刻まれているんだ。 まあ、正式な物じゃなくてお守りみたいなもんだけど」 「なるほど、証印の指輪みたいなものかな」 「うん?見たいの?いいよ。チェルキーちゃんの指輪もなんかすごいね。」 「えっ、ああ。簡単な魔法なら、魔法語を知らなくても使える指輪だよ」 割かし高価だが珍しくはないコモンマジックの指輪をジーっと少尉は見つめてくる。 チェルキーは合点がいったように笑い、自分の指輪を外すと、交換する。 「やった~!!一度魔法使ってみたかったんだ!!」 駆けだしていく少尉を生暖かい目で見送って。 チェルキーは、少尉の指輪をそっと両手で包み込むように持ち上げた。 「……おお、この金属……鍛冶場で扱う鉄や銀や銅とは全然違う感じ」 指先で軽く弾くと、軽やかで澄んだ音が返ってくる。 「チタンて言ったっけ? それも知らないよ。まったく未知の素材だなあ」 ドワーフとしての経験と知識を総動員して考え込む。 表面には、非常に細かい文字がまるで魔刻符のようにびっしりと刻まれている。 チェルキーはルーペを片目にはめ込み、刻印を一枚の絵のように分割しては検分していく。 「軍の一兵士の証印でこの技を持ってるなんて、とんでもない技術と豊かさだね……。 見てて飽きないや、まるで魔法の印章をたくさん集めて、一つにまとめたみたいだ」 ――一方そのころ。 チェルキーから借りた魔法の指輪をはめたブロント少尉は、両手を広げて叫んだ。 「いでよ、魔への守り!!」 指輪から淡い光が放たれ、周囲を包み込む。 「魔法で強化された私には、いかに軍曹と言えどもかなうまい!!」 本人は勇ましい顔だが―― 富士見軍曹は冷静に一歩踏み出し、軽く拳を振るった。 「少尉、魔法なんていまだに信じてるんですか。まだ14歳ですか?」 「えっ、チェルキーたちは魔法を使って――」 「魔法じゃなくて、あれは彼らの技術でしょ」 言葉の途中で、少尉は一撃で地面に沈む。 「む、まだまだ鍛錬が足りんか……」 苦笑しつつも、光を放つ指輪を見つめる少尉。 「この地では魔法で攻撃する相手なんていないから、 カウンターマジック(抗魔)の指輪なんて役立たずだけど。 この証印指輪はすごいね。」 その片手には、魔法の世界の指輪。 もう片方には、技術の世界の指輪。 二つの輝きは、互いに違う時代と世界を映していた。

さかいきしお

コメント (31)

早渚 凪
2025年08月12日 14時23分
クマ×娘 D.W

魔導具の一環かな♪結局、素手で切り込む方が一手早かったねw

2025年08月12日 11時05分
gepaltz13
2025年08月11日 20時26分
thi

指輪といえば魔法の道具のイメージです

2025年08月11日 14時45分
takeshi
2025年08月11日 14時41分
五月雨
2025年08月11日 14時23分
アイコス・イルマ
2025年08月11日 13時40分
白雀(White sparrow)

まさに異世界交流って感じがしますね

2025年08月11日 13時07分

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