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海辺のUFOキャッチャー大作戦
少尉が、魔王さまと一緒に漁獲と討伐任務を行います。 魔王さま、手伝っていただきありがとうございます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 浜辺に立つ魔王さまは、赤と黒のローズ柄のリゾートドレスをひらりと揺らし、海上の空気を楽しむように視線を巡らせていた。 その視線の先には、海に浮かぶ巨大な円盤状の魔法ゲート――一見荘厳で輝かしいが、どう見てもUFOいや、ゲーセンにある景品を掴んでとるクレーンゲームにそっくりだ。 「さて……今夜の晩餐は、どんな海の幸にするかのう。」 魔王さまが指先で円を描くと、ゲートの底からまばゆい光が降り注ぎ、三本の巨大な魔力アームが海へと伸びる。 ザパァァン! 水柱が立ち、アームが海中の生き物を掬い上げる。跳ねる魚、光るウロコ、飛び散る水しぶき――まるで魔法仕掛けの巨大漁網だ。 「おおー!魚がいっぱい!」 ケティが尻尾をぶんぶん振って駆け寄る。目はキラキラ、完全に漁獲モード。 しかし、混ざっていたのは魚だけではなかった。 ぬらりと濡れた緑灰色の肌、鋭い爪、魚のような頭部にぎょろりと光る目―― 「深き者ども」数体が、海藻まみれで砂浜に転がり出る。 「にゃにゃにゃ!? 魚じゃないの混ざってるにゃ!?」 ケティの二股の尻尾が一気に膨らむ。 魔王さまは軽く眉を上げると、呟く。 「……ふむ、これは少々荒っぽくなるかのう。」 腕を一振りすると、魔法ゲートの光が鋭さをまし、半魚人達を射すくめる。 「少尉、援護は頼むぞ。」 黒の軍服スカートが風を切り、金色のポニーテールが舞うブロント少尉が一歩前に出る。 「了解。敵は魚だけじゃないようですね。」 「クレセントカッター!!」 ズガァァァン! 飛び内回し蹴り一閃。 半魚人たちは空を舞い、UFOキャッチャー、もといゲートから突き出た巨大な手に捕まえられる。 そのまま、沖合に向けてぽい~。 魔王さまはゲートの光を微調整しつつ、笑みを浮かべる。 「ふむ……この調子なら、晩餐までまだ少し余裕がありそうじゃのう。」 波打ち際には跳ねる魚たちと、再び尻尾を振り始めたケティの姿。 魔王さまもブロント少尉も、それぞれ魔法をふるったり足をふるったり、今日の“漁獲作戦”は平和(?)に続いていった。
