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シャーリーのチーク講座
「フヒヒ、皆様ごきげんよう!幸運の神のプリースト、シャーリー・クラウンでございまーす!」 学園講堂。数百人の女生徒を前に、シャーリーは剽軽な調子で話し始めた。彼女の左頬には渦巻きチーク、右頬には完璧なメイクが施されている。 「本日は、わたくしが幸運を呼び寄せるメイク術、その秘中の秘を伝授つかまつりまする。題して、シャーリーのチーク講座!」 シャーリーはチークブラシを構え、見るからに濃いピンク色をごしごしとこすり取る。 「まずは色選び。直感が**『これは幸運を呼ぶぞ!』**と囁いた色、それが貴女の幸運を象徴する色でございまする!」 そして、大胆に頬に円を描くように塗っていく。 「フヒヒ、大胆に塗るのでございます!幸運は、控えめな女の元には舞い降りてはきませぬからな!」 渦巻きチークが完成すると、彼女は得意げに右の顔を指差す。 「あとは、この愚者のチークを、いかに幸運のチークに昇華させるか、でございまする。ここからは、わたくしめの秘密にございますが……」 シャーリーは身振り手振りで、巧みにメイクの手順を「示す」が、言葉では一切説明しない。まるで見る者を惑わす手品師のように。 「これで、お前さん方の顔も、わたくしめと同じ、幸運の神のプリーストの顔にございまする!フヒヒ、今日のところはここまで。ではでは、お前さんの旅が、幸運に満ちたものになることを願っておりまする!」 投げキッスをして颯爽と去るシャーリー。後に残されたのは、不恰好なチークを施し、呆然とする女生徒たちだった。
