信用の崩壊
「諸君、信用とは“見えざる力”でござる!」 教壇の上でスカウト科助教のシャーリーが、いつものように自信満々に語っていた。 黒板には「信用取引」「預金準備率」の文字が躍る。 講義内容はいつもの金融詐……もとい、経済魔法学だ。 「実際の金貨よりも多くの価値を動かせる―― それこそが“信用”であり、世を回す魔法でござる!」 その瞬間、教室の天井に小さな黒い裂け目が走った。 水晶球越しに魔王さまがくすりと笑う。 (ふん、信用だと? お主の信用を、ちょっと下げてやろうかの) 指がひとふり。 光の粒が舞い降り―― 「……え? え、ちょ、ま、待たれいっ!」 シャーリーの制服が光に包まれ、次の瞬間―― その下から、信じられないほどに庶民的な**“危ない水着”**が現れた。 生徒たちの視線が、一斉にシャーリーに集中する。 きらびやかな光沢も、魔法の装飾もない。 ただの、露出の多い布きれ。 「ふ、ふふ……これは……新しい“信用の形”でござるな……?」 震える声。 顔は真っ赤。 「先生、それ、ただの水着です……!」 「しかも“危ない”やつですよ!!」 「ち、違うっ、これは……市場の混乱というやつでござるぅぅ!」 水晶球の中で、魔王さまが腹を抱えて笑う。 『ふふ、見せかけの価値とは、こういうことだな?』 「うぬぬぬぬぬぬ……邪悪な魔王様め!!」
